職場で特定の人ばかりが優遇されている…そんな「えこひいき」に違和感を覚えたことはありませんか?
えこひいきをする人は、自覚がないまま信頼を失い、最終的にはチームから孤立するという“末路”をたどることも少なくありません。
上司のひいきが職場に与える悪影響や、なぜそれがバレるのか、その理由と背景を解き明かします。
この記事では以下のような内容がわかります:
- えこひいきがバレる“見えないサイン”とは?
- 実例に学ぶ、ひいき上司の末路と社内崩壊
- ひいきを繰り返す人の心理とありがちな言い訳
- 被害にあわないための対処法と実践ポイント
モヤモヤを放置せず、正しく理解して、冷静に向き合うためのヒントをお届けします。
1.えこひいきする人はなぜバレる?

職場の中で特定の人ばかりを優遇する「えこひいき」。
これは一見、本人が気づかれないと思っていても、実際には多くの人の目に触れており、必ずと言っていいほどバレてしまいます。
なぜなら、職場というのは“結果”と“待遇”が目に見える形で現れる場所だからです。
評価の差、任される仕事の質、昇進・昇給のスピードなど、日々の業務を通じて他人との比較が可能です。
そして、えこひいきはその不自然さゆえに、他人の目にとても敏感に映るのです。
1-1. 周囲は見抜いている:“あからさまな扱い”は数字に表れる
たとえば、ある中堅広告代理店で起きたケースでは、実績の数値がそこまで高くない社員が、突如として大きな案件を任されたことで社内がざわつきました。
後からわかったのは、その社員が上司とよくランチに行く“お気に入り”だったということです。
こうした「なぜこの人が?」という疑問は、数字や実績を見比べればすぐに分かってしまいます。
結果的に、上司に対する信頼が失われ、部署全体の士気が下がることに繋がりました。
このように、えこひいきは、目に見える結果と合っていない場合、非常に目立ってしまいます。
しかもそれは、職場での会話や噂を通じて、あっという間に広まっていきます。
1-2. 社内SNS・チャットツールが“偏った評価”を可視化する時代
近年ではSlackやTeams、LINE WORKSなどの社内チャットツールの普及により、やり取りの可視化が進んでいます。誰と頻繁にコミュニケーションを取っているか、どんな話題が出ているかも、ふとした瞬間に他の人の目に留まるようになりました。
例えば、チームメンバー全員が同じプロジェクトに関わっているのに、上司が特定の人だけをグループから外して個別に相談していたり、フィードバックをその人だけに詳細に送っていたりすると、その違和感はすぐに浮き彫りになります。
こうした“見える化”されたえこひいきは、SNS世代の働く人々にとって非常に敏感な問題です。

最近うちのチームでもある人だけが上司とめっちゃチャットしててさ、他の人には一言も返さないの。



うちも同じ!あれって完全にひいきだよね。みんな見てるし、なんならスクショ取ってるって噂もあるよ。
えこひいきは“こっそり”やっているつもりでも、職場ではバレているのが現実です。
そしてそれが「信頼の崩壊」へとつながる第一歩になります。
2.えこひいきする人の末路とは?


えこひいきの恐ろしいところは、「一時的に気分が良くなる」「コントロールしやすい」と感じる本人が、実は職場全体に悪影響を及ぼし、自らの信頼・立場・将来までも危うくしているということです。
特にリーダーや上司という立場の人がえこひいきを続けると、その末路は非常に厳しいものになります。
2-1. 実例:大手メーカー課長が“部下全員から無視された”結末
実際に、東京都内の大手精密機器メーカーで起こったケースでは、課長職の男性が特定の女性社員ばかりを優遇し続けた結果、他の部下たちから総スカンを食らいました。
朝の挨拶をしても返事がない、業務連絡に無視が続く、報告書が課長を経由せず課長代理に直接渡されるといった行動が常態化。
結果として、課長は本社異動という名の“左遷”を言い渡されました。
このように、「あの人はえこひいきする」というレッテルを貼られると、信頼が一気に失われ、再起も難しくなってしまうのです。
2-2. 「退職者が止まらない」贔屓マネジメントが招いた人材流出
もう一つの例では、従業員約120名の中堅IT企業で、マネージャーが新人社員だけを過剰に可愛がり、ベテラン社員に冷たく接した結果、半年間で6名もの中堅社員が退職しました。
それまで長年会社を支えてきた社員が続々と去ったことにより、業務は混乱。結局、新人の育成も追いつかず、マネージャー本人も責任を問われて降格処分となりました。
「人を辞めさせる上司は評価されない」。これが、企業にとって非常にリアルな視点です。
3.えこひいきする人がよく口にする3つの言い訳


えこひいきをしている人に直接指摘しても、たいていは否定します。
では、そうした人たちが口にする「言い訳」には、どのようなパターンがあるのでしょうか。
以下に、職場でよく見かける3つの典型的なフレーズを紹介します。
3-1. 「あいつはよくやってる」→成果ではなく“自分への従順度”重視
えこひいきする人が言いがちな言葉が、「あの子はよくやってるから評価してるだけだよ」。
ですが、その“よくやっている”の基準は非常に曖昧です。
たとえば、上司の意見にいつも賛同し、反論しない。
ミスをしても謝り方が上手いなど、“実際の成果”とは無関係な部分が評価されているケースが多々あります。
そのため、周囲から見れば「上司のご機嫌取りが評価されているだけ」としか映らず、不信感が募ります。
3-2. 「みんなを平等に見ている」→無自覚な差別化の典型例
もう一つの言い訳が、「私は誰にも平等に接しているつもりだよ」。
しかし、実際には飲みに誘うのは特定の部下ばかり、相談に乗るのも毎回同じメンバーだけ、会議で意見を求める回数にも偏りがあるなど、行動に明らかな差が出ているケースが多いです。
こうした“無意識の差別化”こそ、えこひいきの根本的な原因とも言えます。
3-3. 「トラブルを避けたいだけ」→長期的な火種を作る行動
最後に挙げたいのが、「あいつとは話すと揉めるから、できるだけ関わらないようにしてるだけ」というタイプの言い訳です。
これは“自分に都合が良い人だけと関わる”という、いわば職場リーダーとして最も避けるべき姿勢。
表面的な平和を保っているつもりでも、周囲は「公平じゃない」と感じてストレスを溜めています。
この“静かなる火種”が爆発するのは、評価の時期やトラブル時。
最終的には、職場崩壊のきっかけになることもあります。
上司であれ同僚であれ、えこひいきは必ず周囲に伝わり、その人の信頼や評価を確実にむしばんでいきます。
「バレてないから大丈夫」と思っていても、それは一時的な錯覚にすぎません。
4.えこひいきする人が失う3つの重要資産


えこひいきが引き起こすのは、単なる職場内の不満ではありません。
実は、えこひいきを繰り返すことで大きな3つの資産を本人は着実に失っていくのです。
それは「信頼」「情報」「成果」です。
本人は特定の部下と“良好な関係”を築いているつもりかもしれませんが、周囲からは「偏った態度」として映り、じわじわと崩壊の火種を抱えることになります。
4-1. 信頼(チームからの協力が得られない)
ある総合物流企業の営業部で、課長が“お気に入りの若手男性社員”ばかりを目立つ案件に抜擢していたところ、他のメンバーは協力的でなくなり、会議でも発言が激減。
チーム全体の空気がピリピリし始めました。
これは「課長には相談しても意味がない」「どうせひいきの人しか評価されない」と、周囲の心が離れてしまった典型的な例です。
信頼が損なわれると、上司であっても人は動いてくれません。そして一度崩れた信頼は、簡単には戻ってきません。
4-2. 情報(周囲が本音を語らなくなる)
次に失われるのが「情報」。職場では、人間関係が円滑なときほど、自然と“本音”や“裏話”が共有されやすくなります。
ところがえこひいきを行っている上司に対しては、部下たちは徐々に“言わない選択”をするようになります。
「どうせ○○さんの味方なんでしょ」と思われた時点で、意見はシャットアウトされ、重要な情報はスルーされがちに。
これにより、例えば部内でトラブルが起きていても、それが上司に報告されないまま炎上するリスクが増えていきます。



前の上司、ひいきがすごくてさ。誰ももう本音なんて言わなくなってたよ。



わかる。うちも、重要な話はひいきじゃない人同士で勝手に共有するようになってた。上司、完全に蚊帳の外だったもん。
情報が来ない上司は、問題の“兆候”すら掴めなくなります。
そして、それが大きな組織的損失へとつながっていくのです。
4-3. 成果(チーム全体のパフォーマンスが下がる)
そして最後に失われるのが、「チームとしての成果」です。
ある中堅IT企業のケースでは、上司がひいきする社員だけにチャンスを与えていたところ、実力ある中堅層がやる気を失い、数値目標の未達が続出。結果的に、営業成績は前年比マイナス18%となり、責任を取る形でその上司は異動となりました。
チームは多様な人材の力を合わせて成り立っています。
その一部にだけ偏った評価を与えると、歯車がかみ合わなくなり、組織としての出力が激減するのです。
5.えこひいきする人の心理構造とは?


では、そもそもなぜ「えこひいきする人」は、そのような行動を取ってしまうのでしょうか?
それには、心理的な背景があります。ただの“好き嫌い”では片づけられない、無意識の心のクセがあるのです。
5-1. 無意識の“依存心”と“コントロール欲”が原因
えこひいきをする人は、無意識のうちに「自分の味方がほしい」という心理に突き動かされています。
特に、上司という立場にある人がこの心理に陥ると、「自分を否定しない」「自分の意見に従ってくれる」部下ばかりを好み、それ以外の人には距離を置くようになります。
これは、自己防衛本能の一つで、「批判されるのが怖い」「コントロールして安心したい」という心理から来ているケースが多いです。
たとえば、過去に部下からの意見で自信を失った経験がある人や、自分の地位に不安を抱えている管理職ほど、えこひいきに走りやすい傾向があります。
5-2. 「部下は道具」型マネジメントの限界
さらに問題なのは、「部下は自分の目的達成のための道具」として捉えてしまうタイプの上司です。
このタイプは、利用価値がある部下にはとことん優しく接し、それ以外には冷たくなります。
ですが、部下は“物”ではありません。感情を持ち、周囲との関係性の中で働いています。
人を「使えるか使えないか」で判断するマネジメントスタイルは、必ず組織内で軋轢を生みます。
そして最終的に、周囲から孤立し、自分の思い通りに動いてくれる人さえ離れていく、という負のスパイラルに陥るのです。
6.えこひいきする人への対処:見て見ぬふりは逆効果


あなたの職場にも、えこひいきする人がいるかもしれません。
ただ「嫌だな」と感じているだけでは、状況は悪化する一方です。
ここでは、感情的にならず冷静に対応するための方法を解説します。
6-1. 相談先と証拠の残し方(録音・メール・配分実績の記録)
まずは、「事実の記録」が最優先です。
証拠もなしに「ひいきされてます」と訴えても、感情論に終わってしまいがちです。
具体的には:
- メールやチャットでのやり取り(スクリーンショットを保存)
- 業務配分の偏り(エクセルで日付・内容・担当者を一覧化)
- 面談の音声(可能であれば録音、法律には配慮)
こうした証拠があれば、上司本人に直接伝える場合でも、人事部門に相談する場合でも、冷静かつ説得力のある対応が可能になります。
6-2. 第三者を巻き込むタイミングと注意点
相談する相手は、直属の上司以外の信頼できる人物や人事部門が基本です。
ただし、そのタイミングは「一度、冷静に状況を観察した後」がベターです。
いきなり告発的に動くと、自分が孤立するリスクもあるためです。
目安としては、「2週間以上続けて不公平感がある」「同僚も同じように感じている」「信頼のある上司に一度話しても改善がない」といった状態が続く場合には、正式に相談を始めましょう。
このように、冷静で事実に基づいた対応こそが、えこひいきに悩まされるあなた自身を守る強力な武器となります。
7.えこひいきする人が職場に与える長期的ダメージ


えこひいきが生む問題は、単なる個人同士の軋轢では終わりません。
問題の本質は、職場全体の組織力や健全性がじわじわと損なわれていくことにあります。
特に長期的には、企業文化や評価制度に深刻なダメージを与えるケースも少なくありません。
7-1. 組織の“実力主義”が形骸化するリスク
企業が掲げる「公平な評価制度」や「成果主義」は、社員のモチベーションを保つための土台です。
しかし、えこひいきが横行すると、その実力主義が空文化してしまいます。
たとえば、営業実績トップの社員が昇進を見送られ、一方で明らかに数字が劣る“上司に好かれている社員”が主任に抜擢された……。
このような事例が積み重なると、「どうせ評価は上司の好みで決まる」と社員の努力意識が低下していきます。
実際、関西の中堅人材サービス企業では、「評価が人間関係に左右される」として若手社員の約3割がキャリアプランを見直し始めたというケースも。
こうなると企業の“人材育成基盤”そのものが崩れ始めるのです。
7-2. 若手人材の離職率が急増した企業のケース
さらに深刻なのは、若手の離職が止まらなくなる現象です。
特にZ世代やミレニアル世代は、「上司に媚びないと評価されない」「努力が無視される」と感じる環境に敏感です。
2023年、首都圏のITベンチャー企業で実際に起こった例があります。
リーダーが“元飲み仲間”の社員ばかりを昇進させた結果、わずか半年で25歳~30歳のエンジニアが5人退職。
そのうち3人は競合他社に移ったことで、開発機密の流出にもつながりました。
企業にとって、えこひいきによる人材流出は、単なる“人手不足”にとどまらず、信頼の失墜・競争力低下・ブランド価値の毀損といった大きなリスクに発展するのです。



前の職場、えこひいきすごかったからさ。頑張っても結局、“飲み会参加率”で昇進が決まる感じで。



あー、それ聞くだけで転職したくなるやつ…。ちゃんと見てくれる会社じゃないと、長く働けないよね。
このように、えこひいきは人材の定着だけでなく、組織としての“健康状態”そのものを蝕む深刻な要素なのです。
8.えこひいきする人に振り回されないために


では、えこひいきが横行する職場にいても、自分自身が翻弄されずに価値を発揮するには、どうすれば良いのでしょうか。
ポイントは、「自分の実力を正しく可視化すること」と「見えない努力を見える形に変えること」です。
8-1. 評価基準の可視化が職場全体の命綱
まず大切なのは、職場の評価基準があいまいなまま放置されていないかを確認すること。
評価制度がブラックボックス化していると、「えこひいき」が起きた際にも誰もそれを正すことができません。
逆に、目標管理(MBO)やOKRなど、具体的な目標と進捗の可視化がされている職場では、上司の主観が介入する余地が少なくなります。
もしあなたの職場で評価基準が曖昧だと感じるなら、上司に定量的な目標の提示を依頼することも一つの手段です。
例えば、「このプロジェクトでどんな成果を期待されていますか? 数値化できる目標があれば教えてください」と伝えるだけでも、透明性がぐっと上がります。
8-2. 自力で評価される“成果の見せ方”とは
もう一つ重要なのが、自分の実績を適切に“アピール”する力です。
えこひいきが横行する職場では、静かに頑張っているだけでは評価されにくい傾向があります。
だからこそ、「見せ方」を工夫する必要があります。
例えば:
- プロジェクト終了時に成果報告メールを送る(CCに他部署の上司も入れる)
- 数値目標を“月ごとにグラフ化”して可視化し、定例会議で発表する
- 上司に「フィードバックをお願いします」と能動的に働きかける
これらの行動は、ただの“アピール”ではなく、「きちんと成果を管理・報告する」という意味で、ビジネススキルとしても評価されます。
特に社内の可視化が進んでいる昨今、SNS的な感覚で「誰に何を見せるか」は非常に重要な戦略です。
職場にえこひいきが存在していても、自分の軸をしっかりと持ち、評価の“見える化”を図ることで、無用な消耗を避けることができます。
理不尽に振り回されるのではなく、「戦略的に評価される働き方」を意識することで、健全なキャリア形成ができるはずです。
9.まとめ:えこひいきする人の末路と職場への影響
- えこひいきする人は信頼・情報・成果という大切な資産を失う
- 職場全体の実力主義が崩れ、若手社員の離職や組織の低迷につながる
- 心理的背景には“依存心”や“支配欲”があり、無意識に行っているケースも多い
- 見て見ぬふりはNG。記録と冷静な対処が自分を守る鍵
- 自分の実力を“見える化”し、正しく評価される働き方が重要
えこひいきに悩んでいる人は、「正しく伝える」「正しく見せる」ことで、自分のキャリアを守ることができます。